EnB(energy baseline、エネルギー消費のベースライン)は、選定した期間に基づく定量的な基準値であり、対策の実施前後でエネルギーパフォーマンスを比較する際の基礎となります。
ベースラインの設定方法
通常の稼働状態を表す期間(一般には暦年単位)を選び、消費量をそれを説明する変数に関連付けます。変数には、生産量、外気温(暖房・冷房度日)、シフト数などがあります。多くの場合、単純な回帰モデルが用いられます。これにより、何も変えなければ現在の条件下で工場がどれだけ消費するかを示せます。
この「想定」消費量と実際の消費量との差が省エネ量です。手順は規格ISO 50006に示されており、省エネ量の検証はM&Vに続きます。
ベースラインを調整する場合
ISO 50001:2018では、指標(EnPI)が実際のエネルギー使用を反映しなくなった場合、またはプロセス、運用パターン、エネルギーシステムが大きく変化した場合に、EnBを調整することを想定しています。たとえば、生産プログラムの大幅な変更や、新しい工場棟の増設後などです。
このような「静的因子の変化」は記録し、意図的に判断することが望まれます。そうしないと省エネ量が歪みます。そのためEnergy Infra Scanプラットフォームは、こうした変化を承認用に通知します。
製造現場での例
基準年として前年(暦年)を選びます。日次データから、生産量と気温で消費量を説明するモデルを作成します。今年、同じ生産量で似た気象条件のもと、工場の消費量がモデルの予測より5%少なければ、それは天候による偶然ではなく、裏付けのある省エネ量です(数値は例示)。
よくある質問
ベースラインは前年の消費量と同じですか?
必ずしも同じではありません。前年の消費量は選択肢の一つにすぎません。生産量と気象で正規化したベースラインのほうが適しています。そうしないと、前年が暖かかったことや生産量が多かったことが比較に影響するためです。
ベースラインは変更できますか?
はい。ただし、プロセスやエネルギーシステムの大きな変更など、正当な理由がある場合に限り、変更は記録します。「省エネ効果が出るように」調整するのは誤りです。